離婚調停体験記

離婚調停体験記 第28話|財産分与対策②(不動産の分与対象額の分け方の考察)

投稿日:2019年6月17日 更新日:

妻が出ていって10ヶ月半

※このページはとても難解です。
分からない部分はさっと目を通すだけで、本筋の理解にほとんど影響ありません。

 

妻側弁護士から査定書が送られてきてから、私は不動産分与の対策を考えました。
再度、4つのステップに分けて考察していきます。

 

<4つのステップ>

<1>投資用不動産を、保有継続か売却清算かを決める。
<2>評価額を決め、分与対象額を定める。
<3>双方の取得額を求める計算方法を決める。
<4>頭金の拠出割合や経営への貢献度などを反映させる。

 

<1>投資用不動産を、保有継続か売却清算かを決める。

前回の調停でヤマトの保有を前提とする話合いの流れになりそうです。

 

<2>不動産の評価額を決め、分与対象額を定める。

妻側弁護士は査定額の1億2,000万と主張してくるだろう。
一方、私は固定資産税評価額の4,558万と主張している。
もちろん、この私の主張を妻側弁護士が認めるとは思っていなません。

 

もし私が低い評価額にすべきだと主張し続ければ、財産分与の話し合いが決裂してしまう。そうなれば、妻は時間を稼いで確実に離婚できる別居期間3年の実績を作ってから裁判を起こすだろう。

 

そうなって離婚の判決が出た場合、不動産の財産分与額は査定額に近い金額となるだろう。その場合、不動産の財産分与で約2,300万円もの金額を支払うことになりそうだ。

 

そのため、私は早めに財産分与の話し合いが進むように、自分の主張もしながら徐々に着地点を探る必要がある。

 

<3>双方の取得額を求める計算方法を決める。

分与対象額が決まると、その金額をどう分けるかを決めなくてはいけません。

 

単純に折半にするという場合もありますが、頭金の拠出割合などから単純に決まらない場合があります。この様な複雑な場合のために、離婚調停や裁判でよく使用される計算式があります。その計算式を用いると、複雑な場合でも双方の取得額を簡単に決めることができるのです。

 

ここで、不動産分与の計算式について説明します。
計算するには、事前に①~⑤を確認しておく必要があります。

①不動産の評価額(査定や不動産鑑定)
②購入時の、頭金の拠出元とその金額
③同居期間中の融資返済総額
④別居期間中の融資返済総額
⑤離婚予定時点の融資残高

 

不動産分与の金額を求めるためには、分与対象額を求めなければなりません。
分与対象額は、不動産の評価額から、離婚成立(予定)時の融資残高を差し引いたものが分与対象額となります。

分与対象額 = 不動産の評価額①-離婚成立時の融資残高⑤

分与対象額が決まればそれぞれを数式に当てはめて、夫婦双方の取得額を決めます。

 

※分与対象額がマイナスの場合は、
ゼロと見なすか、マイナスの財産として預金から相殺します。

 

不動産の財産分与の計算式は分数で表されます。

 

夫の取得分の求め方

分子の項
{①⑤分与対象額×
(②夫からの頭金
+②共有財産からの頭金÷2
+③同居時の融資返済総額÷2
+④別居時の融資返済総額)}

分母の項
(②頭金総額+③④融資返済総額)

 

妻の取得分の求め方

妻の取得分=分与対象額―夫の取得分

 

ここで、いくつかの事例で取得額を計算してみます。

≪例1≫単純な例

(前提条件)

①不動産の評価額(査定)
3,500万

②頭金
1,000万(婚姻期間に貯めた)

③同居期間の融資返済総額
800万(夫婦で400万ずつに分ける)

④別居期間無し
無し

⑤離婚予定時点の融資残高
2,200万円予定

 

(分与対象額の計算)

分与対象額は、3,500万-2,200万=1,300万

これを、夫と妻に分けるために計算式に当てはめます。

夫の取得額=
{①⑤1,300×(②1,000÷2+③800÷2)}
÷(②1,000+③④800)
650万円

妻の取得額=1,300-650=650万円

 

この例の前提条件は、頭金に関する権利夫婦で等しく、別居期間もありません。
したがって、それぞれの取得額はちょうど半分ずつになります。

 

≪例2≫複雑な例

(前提条件)

①不動産の評価額(査定)
3,500万

②頭金
夫の両親から600万
婚姻期間中の貯金400万

③同居期間の融資返済総額
600万

④別居期間の融資返済総額
200万(夫が負担)

⑤離婚予定時点の融資残高
2,200万円予定

 

(分与対象額の計算)

分与対象額は、3,500万-2,200万=1,300万

次に、夫と妻の取得額を求めます。

夫の取得額=
{①⑤1,300×(②600+②400÷2+③600÷2+④200)}
÷(②1,000+③④800)
約939万円

妻の取得額=1,300-939=約361万円

 

この例では、夫の方が取得額は多くなっています。
理由は、夫の方が頭金を多く出していることと、別居中に一人でローンを返済していたことが背景です。

 

≪ヤマトの事例≫

ここでは、実際にヤマトの不動産に当てはめて、計算したいと思います。
まだ未定の前提条件は、仮置きするとします。

(前提条件)

① 不動産の評価額(査定)
3棟分をまとめて仮に査定額の1億2,000万円と設定。

② 頭金
夫婦で1,150万円
※仮設定です。実際には約半分がヤマトの婚姻前からの貯金だと主張します。

③ 同居期間の融資返済総額
440万円

④別居期間の融資返済総額
210万円(ヤマトが負担)

⑤現時点の融資残高
6,700万円予定

この前提で、計算をしてみました。

 

(分与対象額の計算)

分与対象額は、12,000万-6,700万=5,300万

次に、ヤマトと妻の取得額を求めます。

ヤマトの取得額=
{①⑤5,300×(②1,150÷2+③440÷2+④210)}
÷(②1,150+③④660)
約2,960万円

妻の取得額=5,300-2,950=約2,340万円

 

妻の取得額はとてつもない金額になってしまいます!
このままでは、妻に不動産の財産分与で2,000万円以上もの大金を要求されてしまう可能性があります。

 

<4>頭金の拠出割合や経営への貢献度などを反映させる。

離婚の財産分野において、特殊能力により多大な財産を形成した場合、その貢献者が多くの財産を得ることになった判例はたくさんあります。

 

私は不動産投資を始めて、約4年が経ちます。
この間、経営は100%私が行ってきました。

 

そして、融資残高約6,700万円に対して1億2,000万円もの評価額となりました。
私は、皮肉にも妻側弁護士が出してきたこの査定額を元に、これほどの財産形成は私の特殊能力であると主張することとしました。
(もちろん、私が不動産投資を行っている間に、妻は家事・育児で貢献していたということは十分理解しています)

 

ここで、不動産経営への寄与度を財産分与に反映させるための方法として、分与の計算式に独自の掛け目を加えることを考えました。

 

<3>で説明した通り、不動産の分与は以下の計算方式により双方の取得額を決めることができます。

夫の取得分の求め方

分子の項
{①⑤分与対象額×
(②夫からの頭金
+②共有財産からの頭金÷2
+③同居時の融資返済総額÷2
+④別居時の融資返済総額)}

分母の項
(②頭金総額+③④融資返済総額)

 

妻の取得分の求め方

妻の取得分=分与対象額―夫の取得分

 

ただ、これは一般的な居住用不動産の分与を計算する方法であります。
同居期間中のローン返済の夫婦の貢献度は同じと見なしています。

ここで、不動産投資の寄与度を反映させる掛け目を、同居期間中の返済総額に積するという方法を提案することにしました。

 

夫の取得額の分子の項
{分与対象額×
(夫からの頭金
+共有財産からの頭金÷2
+同居時の融資返済総額×寄与度(50~100%)
+別居時の融資返済総額)}

 

私側の掛け目に寄与度としては、70%~80%程となることを主張する予定です。

 

一方で、妻側はそもそも貢献度を加味するような計算式に合意するかどうかは不明です。また、合意したとしても、寄与度はできるだけ低くなる様に主張するでしょう。

 

ここで、不動産の財産分与の議論についての4つのステップを見てみましょう。

<4つのステップ>

<1>投資用不動産を、保有継続か売却清算かを決める。
<2>評価額を決め、分与対象額を定める。
<3>双方の取得額を求める計算方法を決める。
<4>頭金の拠出割合や経営への貢献度などを反映させる。

 

現在、<2>の評価額をいくらにするかを議論しています。
私の主張は、固定資産税評価額の4,558万円。
妻側の主張は、査定額の1億2,000万円。
おそらく、1.0~1.2億ほどに決まるでしょう。
1億ほどにできれば理想です。

 

評価額が決まれば、議論は<3>へ移ります。

 

ここで、重要な点があります。

 

離婚が裁判で認められるかどうかという議論は、時間が経過すればするほど私に不利です。
なぜなら、別居期間が3年程に達すると離婚が認められやすくなるのです。
このことは、K弁護士との相談などで何度も考察したとおりです。

 

しかし、不動産の分与の計算式を使うことは、議論が長引けば長引くほどヤマトに有利になるのです。

 

分与の計算式の下記の黄色で網掛された項を見てください。

 

夫の取得額の分子の項
{分与対象額×
(夫からの頭金
+共有財産からの頭金÷2
+同居時の融資返済総額×寄与度(50~100%)
別居時の融資返済総額)}

 

この別居時の融資返済総額ですが、別居期間が長くなるほどこの項が大きくなり私の取得額が大きくなるのです(相対的に妻の分与額は減るのです)。
これは、私にとって非常に都合の良いことです。

 

具体的にどのくらいの変化になるかを、仮の前提を置いて計算してみました。
すると、表の通り別居期間が1ヶ月延びると妻の分与の取得額は約4万円減ります。

 

つまり、この計算式を使うことを合意すれば、その後の展開が長引いたとしても私は金銭的に有利になるのです。
そのため、できるだけこの計算式を用いるように話を誘導していきたいと思います。

 

不動産分与にこの計算式を用いることが決まれば、次はステップ4の『頭金の拠出割合や経営への貢献度』の議論となります。

 

不動産分与の対策を考えているうちに、次に調停の期日が近づいてきました。

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