離婚調停体験記

離婚調停体験記 第31話|第9回離婚調停

投稿日:2019年6月20日 更新日:

妻が出ていって1年

この日も会社を休んで調停に出席しました。
裁判所についていつも通り『相手方』の待合室で待っています。
9回目ともなれば、もう慣れたものです。
同じ待合室の人を観察する余裕もできていました。

 

私の前の席に、男性が二人座りました。
60歳ほどの男性と、その弁護士です。
その男性は不動産の資料を持っていました。
そして、弁護士と打ち合わせをしていました。

 

気になって仕方がありません。
見ないようにしていましたが、つい目に入ってしまいました。

 

資料が目に入った瞬間、驚きました。
なんと、不動産を5つほど所有しているようです。
そのうち一つはビルで、金額は2億円…。

 

この人、すごいな。
私は、計1億2,000万円を巡ってとても揉めていると言うのに、このおじいさんは果たしてどんな議論になっているんだろうか。

 

そんなことを考えて待っていると、調停委員が呼びに来ました。
今日も同席調停をすることになりました。

 

私が部屋に入ると、既に妻側弁護士3人が部屋にいました。
目が合った瞬間、お互い軽く会釈します。

 

第9回離婚調停の会話内容を公開

調停委員(女)
「それでは、前回の続きを話し合ってください」

ヤマトの心の中
(よし、私が議論の主導権を握ってやろう)

ヤマト
「前回の調停では、3棟の投資用不動産の頭金の拠出割合をどうするかという議論までしました。
それはつまり以下の表をどう埋めるかということになります」

 

ここで、下記のマトリクス図を見せました。

保有不動産の頭金のマトリクス図

 

ヤマト
「3棟の投資用不動産のそれぞれの頭金の拠出元とその金額を決めなければなりません。
私は、1棟目と2棟目は私の特有財産から拠出され、3棟目は共有の貯金から拠出されたと主張します」

保有不動産の頭金のマトリクス図1

ヤマトの心の中
(おそらく、妻側弁護士は『それをそのままは認められない』と言うだろう。
そう返されることは分かっているが、最初は高めの主張をするのが基本だ)

妻側弁護士M
「それは、合意できません。
ヤマトさんの特有財産から優先的に拠出するという方法に合意できません。
まずは、共有財産から優先的に拠出するべきです」

保有不動産の頭金のマトリクス図2

ヤマトの心の中
(妻側弁護士がそのような主張をしてくることは想定済み。
さて、ここからの議論が重要だ)

ヤマト
「その主張は到底受け入れられません。
頭金の拠出については私が全て把握していたのに、今更妻の主張を受け入れられるはずがありません」

妻側弁護士T
「こっちも、あんたさんのその主張は受け入れられんね!」

ヤマト
「資金の流れを管理していた私が真実を話しているのです。
これ以外は、後付け話としか考えられません」

 

妻側弁護士3人はなかなか譲歩しようとしません。
一方で、私も引き下がりません。
すぐに譲歩すると、相手から『強く言えばすぐに譲歩する人だ』と思われてしまいます。
強く主張をし続けて、最後に少し譲歩して着地するという進め方をしなければなりません。

 

20分、30分と時間は過ぎていきます。
時間が経つと、お互い熱くなってきました。
双方、声がどんどん大きく、そして、荒くなってきます。
何度か調停委員から落ち着くように注意がありました。

 

この時、私はある『言葉』を待っていました。
私に何度も精神的ダメージを与えてきた『言葉』を。
私のとっておきの主張をするためには、妻側弁護士がその『言葉』を発した時に反論するのが最も効果的なのです。

 

かなりヒートアップしてきたところで、妻側弁護士が遂にその『言葉』を発しました。

 

妻側弁護士T
「あなたね、
何度も言っているように、
あなたの一方的な主張など受け入れられん。

調停委員さん、これはもう不調にしてしまうしかないですなぁ!

さっさと裁判しましょ!

裁判で白黒つけましょ!

裁判だあぁー!

 

ヤマトの心の中
(遂に言ったな。その『言葉』を。

まだ私が『裁判』という言葉にビビると思っているのか!?
私は9回も調停をこなしたので、経験値はかなり高くなっている。

そんな脅しはもう効かない。
そもそも、この話し合いは私の方が圧倒的に優位な立場にいる。
今日はそのことを認識させてやる!)

 

私は、
深呼吸して、
静かなトーンでゆっくりと話始めました。

 

ヤマト
「不調にするなら、しても良いんですよ。
私は裁判しても、勝てると確信しています。
妻の主張する離婚理由で離婚判決が出るなんて思っていません。
私はそれを分かった上で、離婚条件の話し合いに応じてあげているのです!

それでも、不調にして裁判にするなら、私は受けて立ちます。
そして、裁判では『離婚不可』の判決を取りに行きます。
和解なんて生ぬるい決着などするつもりはありません。
『離婚不可』の判決のみを目指します!
それでも良いなら、不調にしてください!

さぁ、裁判官を呼んで調停を終わらせてください!
裁判にしたいんでしょう!?

妻側弁護士3人
「…」

ヤマト
「私は離婚条件の話に応じていますが、『離婚をしないという選択肢』を持っているのです。
つまり、この話の決定権は私が持っているのです。
私が不満に感じたら、この話し合いはすぐにでも打ち切ります。

わかりますか?
私の主張を軽く受け止めてはいませんか?
あなたたちが私の主張を受け入れなければ、この話し合いは中止になってしまうという状況なのですよ!

妻側弁護士3人
「…」

ヤマト
「さぁ、私の頭金の拠出についての主張を受け入れるのか、それとも不調にして裁判をするのか、お好きな方をお選び下さい!」

妻側弁護士3人
「…」

 

妻側弁護士3人は何も言い返せず、無言で私を睨みつけてきます。
私は腕を組んで3人を睨み返しています。
私は、完全に私がこの場を支配していると感じました。

 

沈黙が30秒ほど続きます。
女性の調停委員は、ハラハラしながら見守っています。
頃合いを見計らって、私は次の手を仕掛けました。

 

ヤマトの心の中
(さて、本命の着地点の話を切り出そうか)

ヤマト
「まぁ、あなた方も依頼人がいる以上、何かしら成果という『お土産』を持って帰らなければなりませんよね。
そこで、一つ提案です。
1棟目の頭金は私の特有資産100%としますが、2棟目の頭金には妻から預かっている資金のうち50万円を充てることを認めましょう」

保有不動産の頭金のマトリクス図3

ヤマトの心の中
(さぁ、乗ってこい。
これだけ私に強く言われたら、この譲歩案がありがたく思えるだろう)

妻側弁護士M
「…。
あと、奥様の特有資産の残りの150万を、3棟目の頭金に入れさせてもらえませんか?」

 

この瞬間、
私は時が止まる様な感覚に襲われました。

 

妻側弁護士のこの発言は、数日前に私が考えていた理想の配分案に着地することを示唆しているのです。

 

ヤマトの心の中
(私が想定した展開ではないか!?
文句の無い着地点!
経営の寄与度次第だが、妻の取得額を900万円以下に抑えられる。

しかし、すぐに返事をしたらまた色々言ってくるだろう。
ただでさえややこしい相手だ。
ここは『悩んだ末にOKを出した』という演技をしよう)

 

妻側弁護士の発言の後、
額に手を当てて、
眉間にしわを寄せて、
悩んでいる振りをしました。

 

妻側弁護士は私の返答を待っています。
調停委員は私の様子を伺っています。
この部屋の全員が私に注目しています。

 

20秒ほど経ちましたでしょうか…。
とても永く感じられる時間でした…。

 

私は、
腕を組んで、
深呼吸をして、
ゆっくりと口を開きました。

 

ヤマト
「わかりました。
では、頭金の拠出案はこれで良いですね?」

保有不動産の頭金のマトリクス図4

妻側弁護士M
「はい」

 

不動産の頭金の拠出割合が決まりました。
あとは私の経営の寄与度を決めるだけです。
離婚条件の最大の焦点である不動産分与の議論も、大詰めを迎えています。

 

ヤマト
「では次に、私の不動産経営への寄与度を決めましょう。
前回の調停でお話しした様に、私の不動産経営への貢献は、『同居中のローン返済総額』に寄与度の掛け目を入れるということで納得いただけましたでしょうか?」

 

ここで、不動産の分与の計算式を見せると同時に、寄与度を入れる部分を指し示しました。

 

<夫の取得額の分子の項>
{分与対象額×
(夫からの頭金
+共有財産からの頭金÷2
+同居時の融資返済総額×寄与度(50~100%)
+別居時の融資返済総額)}

 

妻側弁護士M
「はい、これでOKです。私たちが認識していたものと同じです」

ヤマト
「私は、寄与度を80%だと主張します」

妻側弁護士M
「こちらは50%と主張します」

妻側弁護士T
「あなたさんが不動産経営をしている間、奥様は家事で貢献していたのだよ。
夫婦は二人三脚なのだから寄与度は50%ずつだ!」

ヤマトの心の中
(おいおい…。
経営への私の寄与度を議論することに合意したのに、『寄与度は半分ずつ』なんて主張するなんて、最初から寄与度を認めていないことと同じではないか。

本当に面倒な相手だ。
まぁ、いつものパターン通り最初は高めの主張をしてきているのだな)

ヤマト
「それは受け入れられません。
そこで、私のぎりぎりの着地点をお伝えします。
私の許容できる着地点は、私の寄与度75%です。
これは、主張ではありません。着地点です」

妻側弁護士T
「こちらの考えでは、せめて3分の1、つまり66%だ」

調停委員(女)
「すいません。
議論が白熱しているとこを申し訳ありませんが、そろそろ時間です。
続きは次回にしましょう」

 

こうして、9回目の調停は終わりました。

 

妻側弁護士は、今まで何度も『裁判』という単語で私にプレッシャーをかけてきました。
しかし、私は調停にも先方のやり方にも慣れてしまったのです。
たとえ裁判をチラつかされても、
冷静に考え、反論することができるようになっていました。

 

私が、ここまで強く反論できたのはなぜか。
その理由は以下の2点だと思う。
・離婚調停についてしっかり勉強したから。
・弁護士に相談して頭が整理できたため、自信を持って主張ができたから。

 

調停は、裁判とは違って話し合いです。
しかし、何の準備も無く行くなんてとんでもない。
準備をしていなければ、相手に言いくるめられてしまいます。
そうなると、なかなかこちらの主張を受け入れてくれなくなります。

 

調停に来ている段階で、ほとんどの人は弁護士を伴っています。
もし一人で来ていても、個別に弁護士相談はしています。
しかも、かなり早い段階から相談をしているでしょう。

 

こちらも万全の用意で挑みましょう。
ここでどう対応するかで、
人生のリスタートの資金が数十~数千万円変わってくるのです。

 

次の調停が数日後に迫ってきた時、
ふとあることを思い出しました。

調停で、はっきりさせないと気が済まないことが一つあったのです。

それは…。

 

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